はじめに
デジタルノマドは、パソコン一つあれば世界中のどこででも仕事ができます。
世界中を旅しながら仕事をするそのライフスタイルは、多くの人を魅了しています。
しかし、国境を越えて働くということは、税金の問題とは切っても切れない関係にあります。
本記事では、デジタルノマドのための節税対策について、詳しく解説していきます。
税金の基本的な知識から、国ごとの税制の違い、二重課税を避けるための方法、経費の計上方法など、節税のためのポイントを幅広くカバーします。
デジタルノマドとして活躍中の方も、これからなろうと考えている方も、ぜひ参考にしてみてください。
デジタルノマドと税金の基本
デジタルノマドの税金問題を考える上で、まず押さえておきたいのが基本的な概念です。
税務上の居住地とは
税務上の居住地とは、簡単に言えば、税金を払う義務がある国のことを指します。
多くの国では、183日ルール(短期滞在者免税制度)が採用されており、1年のうち183日以上その国に滞在していれば、税務上の居住者とみなされます。
約半年ですね。
ただし、国によってルールは異なるので、注意が必要です。
アメリカ国籍の方やアメリカの永住権(グリーンカード)を保持している方は、世界中のどこで収入を得ていても、アメリカに税金を納める義務があります。
個人所得税と法人税の違い
フリーランスとして個人で仕事をしている場合、収入に対して個人所得税が課されます。
一方、法人を設立している場合は、法人税が課されます。
税率は法人税の方が緩やかですが、法人化するためにはそれなりの手間がかかります。
どちらの形態で働くかによって、税率や控除の内容が大きく異なるので、自分に合った方を選ぶことが重要です。
各国の税制比較
デジタルノマドにとって、滞在先の国の税制を理解しておくことは非常に重要です。
ここでは、デジタルノマドに人気の国の税制をいくつか紹介します。
ポルトガル
ポルトガルは、NHR制度という非常に魅力的な税制優遇措置があることで知られています。
一定の条件を満たせば、10年間、海外からの収入に対する税率を20%に抑えることができます。
ただし、現行のNHR制度に登録できるのは2024年12月末まで。
それ以降、段階的に廃止予定です。
ポルトガルでのノマド生活を考えている方は、2024年中に!
タイ
タイは、「LTR (Long Term Residency)」というリモートワーカー向けのビザがあります。
このビザは、海外からの収入に対する税金が非課税になります。
個人所得税の税率が比較的低く、課税所得が15万バーツ(約60万円)以下なら免税されます。
15万バーツ~30万バーツ(約120万円)以下なら税率は5%です。
エストニア
エストニアは、e-Residency(電子国民)プログラムを導入しており、EU圏外の人でも簡単に法人を設立できます。
法人税率は20%ですが、利益を再投資する場合は課税が繰り延べられるのが特徴です。
マレーシア
マレーシアのMM2Hビザを取得すれば、海外所得に対して税金が非課税になります。
東南アジア周遊の拠点としても便利な立地です。
アラブ首長国連邦(UAE)
UAEでは、個人所得税が0%です。
金融関連の仕事をしているノマドワーカーに特に人気の国です。
ただし、月収5,000ドル以上であることなどの条件があります。
コスタリカ
コスタリカは、海外所得に対して非課税となります。
また、ノマドワーカーに優しいデジタルノマドビザの制度もあります。
バーレーン
バーレーンは日本と同じ島国で、中東では比較的治安が安定しています。
バーレーンでは個人所得税が0%です。
中東の中では比較的自由な国として知られ、医療水準も高いため、ノマドワーカーに適した環境が整っています。
※ただしシーア派住民居住区には注意。外務省の渡航情報も参照してください。
節税に有利な国に滞在することは重要ですが、ビザの取得条件や生活コストなども考慮に入れて、慎重に選ぶ必要があります。
二重課税を避けるには
デジタルノマドの多くは、複数の国を行き来しながら働いているため、二重課税のリスクがあります。
二重課税とは、同じ所得に対して2つ以上の国で税金を払わなければならない状態のことを指します。
二重課税を避けるためには、以下のような方法があります。
租税条約の確認
多くの国の間では、二重課税を防止するための租税条約が結ばれています。
両国に居住する個人・企業が二重に課税されることを防ぐため、居住地国と源泉地国の課税権を調整するというものです。
自分が関わる国の間で、租税条約がどのように結ばれているかを確認しておきましょう。
居住者証明書の取得
居住地国で納税義務を果たしていることを証明する居住者証明書を取得します。
これにより、母国で二重に課税されることを避けられます。
確定申告での外国税額控除の適用
居住地国で納めた税金については、確定申告の際に外国税額控除を適用することで、母国での税額から差し引くことができます。
二重課税を避けるためには、居住地国と母国の両方の税法に精通し、適切な手続きを踏むことが大切です。
必要に応じて、税理士など専門家に相談するのも良いでしょう。
経費の計上方法
ノマドワーカーは、旅先での滞在費や交通費、仕事に必要な機材の購入費など、様々な経費が発生します。
これらを上手に経費計上することで、税負担を大幅に軽減できます。
家賃や光熱費
自宅の一部を事務所として使用している場合、家賃や光熱費の一部を経費として計上できます。
家全体に対する事務所の使用面積に応じて、適切に按分することが求められます。
通信費
インターネット回線の利用料金や、SIMカードの購入費用、仕事で使用している携帯電話の料金なども、経費として計上できます。
私用と兼用している場合は、適切に按分しましょう。
旅費交通費
航空券や電車の切符、ガソリン代など、移動に必要な費用は経費計上できます。
出張とプライベートの旅行を兼ねる場合は、按分して計上しましょう。
ホテルや民泊の宿泊費、コワーキングスペースの利用料なども、仕事に必要な経費として計上可能です。
機材費
パソコンやカメラなど、仕事に必要な機材の購入費用も経費計上できます。
ただし、一度に全額を計上するのではなく、耐用年数に応じて毎年少しずつ計上する(減価償却する)必要があります。
まとめ
デジタルノマドの税金問題は、非常に複雑で、一筋縄ではいきません。
基本的な知識を身につけ、滞在先の国の税制を理解し、二重課税を避ける方法を考えることが大切です。
また、経費の計上を適切に行うことで、税負担を大幅に軽減できる可能性があります。
帳簿をつけて、きちんと記録を残すことを習慣づけましょう。
税金問題は、デジタルノマドにとって避けて通れない課題ですが、正しい知識を身につけ、適切に対処することで、自由で充実したノマドライフを送ることができるはずです。
本記事を参考に、賢く節税しながら、世界中を旅するデジタルノマドライフを楽しんでいただければ幸いです。
コメント